免疫細胞療法

現在、世界中で用いられている免疫細胞療法のうち、良く知られているものとして「NK(ナチュラル・キラー)細胞療法」、「LAK(ラック)療法」、「ガンマ・デルタT細胞療法」などが挙げられます。
人間の免疫は、生まれながらに備え持っている”自然免疫”と高度な生命体のみに備わった”獲得免疫”の2段構えで異物と戦います。

免疫の要となるリンパ球には、”NK細胞”や”T細胞”などの免疫細胞が多く存在しています。それらを体外で一挙に増殖させて体へ返すのがLAK療法(図2)、NK細胞だけを増やして戻すのがNK細胞療法です(図3)。

また、リンパ球にわずか2~3%しか含まれていないというガンマ・デルタT細胞は、がんなどの異常細胞に発現する分子や、がん抗原(免疫細胞が攻撃の目印にするタンパク)以外の様々な目印によってがん細胞を認識することができます。したがって、抗原を提示しないがん細胞に対しても攻撃を加えることが可能です(図4)。

NK細胞療法

リンパ球に10%ほど含まれるNK細胞は、自然免疫の強力な兵士です。常に体内をパトロールし、腫瘍細胞などの異常な細胞を発見すると即座に攻撃を開始します。NK細胞は”初期免疫防衛ライン”には欠かせません。

NK細胞の培養

NK細胞は抗原を必要としない自然免疫の一種ですので、即座にがん細胞に攻撃を仕掛ける事が出来ますが、細胞自体の寿命が短いため、NK細胞の量を増やしてがん細胞との接触の機会を増やす事が効果的です。
はじめに、患者様から30mlの採血をし、血中に含まれるNK細胞を取り出します。これらをおよそ3~4週間掛けてクリーンルーム(細胞培養室)にて20億個程度にNK細胞の培養・活性化を行います。

NK細胞の投与

30分ほどかけて点滴による静脈内投与します。基本的には2週間毎投与し、6回1コースとなります。

NK細胞療法の効果

NK細胞療法は患者様自身から取り出して細胞を培養しているため、患者様にお戻しした後も親和性が高く、副作用の危険性が少ない治療法です。がんワクチンや抗がん剤治療と併用することで、免疫力向上による抗腫瘍効果やQOLの改善が期待されます。

LAK療法

LAK療法は1980年代に米国国立衛生研究所のローゼンバーグ博士が開発した治療法で末期がんへの有効例が報告された後に、わが国でも国立がんセンターや東京大学医科学研究所で現場治療に応用されるようになりました。
珠光会では1990年よりLAK治療を開始。培養技術をはじめ、これまでに幾多の改良を重ねてまいりました。

LAK療法の仕組み

はじめに患者様から血液を20ml採血し、そこからリンパ球(白血球)だけを分離します。

分離したリンパ球は、IL-2と固層化した抗CD3抗体を用いて2週間培養します。

すると、腫瘍(がん)細胞の攻撃や免疫能力を高めてくれる細胞(LAK細胞)が増殖します。

この培養により生まれたLAK細胞を患者様の体内に戻すことによって、がん細胞の破壊や異物の排除を促すのがLAK療法の仕組みです。

LAK療法の投与

30分ほどかけて点滴による静脈内投与します。基本的には2週間毎投与し、6回1コースとなります。

LAK療法の効果

放射線療法や化学療法を行っている患者様に対しても、副作用の軽減と免疫力増強を引き起こすことが出来る一方、術後のがん再発防止にも役立ちます。

ガンマ・デルタT細胞療法

ガンマ・デルタT細胞はNK細胞やLAK細胞とは異なる作用機序でがん細胞を攻撃できる優れたリンパ球ですが、末梢血中に数%しか存在しません。
このわずかしか存在しないガンマ・デルタT細胞を体外で増殖させたのち、体内に戻す治療がガンマ・デルタT細胞療法です。

試験培養

ガンマ・デルタT細胞を増殖させる試薬の感受性には個人差があるため、その最適濃度を調べる為に治療前に試験培養を行う必要があります。患者さまによってはこの試験培養で増殖が認められず治療適応外となる場合があります。

培養方法

はじめに患者さまから血液を8ml採血し、ゾレドロン酸の濃度とCD3反応性を変え6種類の条件化で試験培養します。
試薬の最適濃度が決まったら、患者さまから改めて血液32ml採血し、リンパ球(白血球)を分離した後、最適濃度のゾレドロン酸とIL-2を用いて約2週間培養します。

ガンマ・デルタT細胞の投与

30分ほどかけて点滴による静脈内投与します。基本的には2週間毎投与し、6回1コースとなります。

ガンマ・デルタT細胞療法の効果

ガンマ・デルタT細胞療法は患者様自身から取り出して細胞を培養しているため、患者様にお戻しした後も親和性が高く、副作用の危険性が少ない治療法です。がんワクチンや抗がん剤治療との併用することで、免疫力向上による抗腫瘍効果やQOLの改善が期待されます。